医療法人の清算人について

こんにちは、司法書士の上野です。

本日は、過去の業務の内容について触れたいと思います。
少し前になりますが、医療法人の解散登記のお仕事をしました。
その際に気になったのが、医療法の下記の条文です。

第五十六条の三 医療法人が解散したときは、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。ただし、定款若しくは寄附行為に別段の定めがあるとき、又は社員総会において理事以外の者を選任したときは、この限りでない。

この条文を素直に読み解くと、

原則 ⇒ 理事全員が清算人(合併及び破産による解散以外)
例外 ⇒ ①定款(寄附行為)に「解散時には〇〇が清算人となる」と定められていればその人が清算人
     or ②社員総会で選んだ『理事以外の』人が清算人

となります。

医療法人は原則理事3名以上です。(設立時に特別の認可を受ければ3名未満も可能)
しかし、理事全員が清算人になると、書類へ全員の印鑑を押してもらったりなど清算業務が煩雑になってしまいます。(住所が遠方の方が理事になっている場合は特に)
そのため、理事長1名のみを清算人としたいという要望が多いはずで、今回の依頼者の方も理事長1名での清算人を希望されました。しかし、条文では『理事以外の者を選任したときは』とある。。。ということは、理事でもある理事長は清算人に選任できないのか?
いろいろ調べたけど答えは出なかったので、管轄法務局へ照会してみました。
照会結果は「清算人として理事長1名を社員総会で選任してもOK」でした!
照会結果の電話が来たときは少しバタついていたので詳しい根拠は聞けませんでしたが、登記手続き上理事長1名を社員総会で清算人選任してもいいとのこと。
じゃあこの条文の書き方は一体何を意味しているのか。とは思いましたが、依頼者の要望が通るならそれに越したことはないので、あまり難しいことは考えずに速やかに解散登記手続きを行いました。

ちなみに、似たような条文がNPO法人の法律にも存在していますが、先日解散登記を行い、社員総会で選任した理事長1名の清算人ですんなり登記が完了しました。
『理事以外』というのは『理事全員を選任すること以外』と読み替えればいいんでしょうか?実際に前半部分の『理事がその清算人になる』の理事は、理事全員のことを指していますので。
真実は不明ですが、紛らわしい条文の記載は止めてほしいものです。。。


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